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財務部門のリーダーがAIに対する信頼のギャップを埋める方法

戦略   |   Michael Peter   |   2026年6月30日 読了時間の目安:4
読了時間の目安:4

大企業の財務リーダーの多くは適切な投資を行ってきました。最新のERP、クラウドデータプラットフォーム、計画策定ツールなどです。そして現在では予測支援、異常検知、決算業務の迅速化、大規模なレポート作成などにAIを活用する企業も増えています。

テクノロジースタックは十分に整っているように見えます。しかし、取締役会から成果について問われると、投資内容を示すよりも、その投資によって得られた成果を明確に示すことのほうが難しいのが現実です。

ERPが本来できること、そしてできないこと

ERPは、本来の目的である取引の記録、会計基準の適用、勘定科目の管理において優れた性能を発揮します。ERPは記録システムであり、その役割を確実に果たします。

しかし、複雑な組織構造におけるグループ会社間取引の相殺処理を、自社でどのようなルールで運用しているかまでは組み込まれていません。また、3回にわたる予算策定サイクルを経て磨き上げられたFP&Aチーム独自のコスト配分手法も保持していません。さらに、どの差異の閾値でコントローラーによるレビューが必要となり、どの時点でVPへのエスカレーションが行われるのか、あるいは税務チームがPillar 2対応のために各管轄区域をどのようにマッピングしているのかといった点も把握していません。こうした具体的で文書化された組織独自のビジネスロジックはERPには存在しません。データウェアハウスにも存在しません。

多くの企業の財務部門では、そのロジックは表計算ソフトの中に存在しています。場合によっては、それを作成した担当者の頭の中にのみ存在していることもあります。

金融分野でAIが直面する課題

金融分野でAIについて語る際によく引用される調査結果があります。MITの調査によると、組織の95%が生成AIへの投資から測定可能な成果を得られていないことが明らかになりました。一方、Bain & Companyは同じ状況を分析し、財務分野に特化した異なる結論を導き出しました。財務分野でAIの投資対効果を最も早く実現する方法は、パイロットプロジェクトを実施することではなく、AIを実際のワークフローに組み込むことです。この違いは重要です。なぜなら、多くの財務部門におけるAIの取り組みが概念実証の段階で停滞してしまう理由を説明しているからです。

AIはデータを高速に処理し、大規模なデータセットからパターンを抽出できます。しかし、生のデータから自社固有のビジネスロジックを推測することはできません。その文脈がなければ、財務分野におけるAIの出力は一見もっともらしく見えても、根拠を示して正当化することはできません。そして、監査可能性が前提条件である財務業務において、このギャップは決して小さな問題ではありません。このことは、ワークフローやAIのパイロットプロジェクトを拡張していくためには信頼できるAIが不可欠であることを裏付けています。

当社が1,400名のIT部門およびビジネス部門のリーダーを対象に実施した独自調査では、AIワークフロー導入の最大の障壁について尋ねました。2人に1人(49%)が「不正確または偏った出力」を挙げました。また、38%は「人間による監督なしにAIへ意思決定を委ねることへの抵抗感」を挙げました。LLMの活用を始めるために完璧なデータは必要ありませんが、信頼できるデータは不可欠です。

実際に欠けているレイヤー

ERPとAI活用の目標との間にあるギャップはデータの不足ではありません。欠けているのはビジネスロジックのレイヤーです。そこには組織固有のルール、手法、意思決定基準が定義されており、AIが信頼できる結果を出力するためには、このレイヤーで機能する必要があります。

このレイヤーが適切に構築され、ロジックが文書化され、ワークフローが再現可能で出力が追跡可能になれば、AIは解釈が必要な生データではなく、検証済みで構造化されたデータを入力として活用できるようになります。出力結果は監査人や取締役会に対して説明可能なものになります。そして、「何から始めるべきか」という問題も自然と解消されます。AIを導入するためには、まずプロセスを正しく整備することが重要なのです。

そのレイヤーを構築するために必要なこと

このギャップを埋めるには「AIを責任を持って活用する」という方針だけでは不十分です。必要なのはIT部門に任せるのではなく、財務部門が自ら構築し、管理する3つの具体的な要素です。

  • 各プロセスに最適化されたデータアセット:必要なのは新たなデータウェアハウスではありません。1つのプロセスに特化し、範囲を明確に定義したデータセットです。単にERPに保存されているデータではなく、自社チームがそのプロセスをどのように評価・管理しているかを反映したデータであることが重要です。
  • 暗黙知ではなく体系化されたロジック:コスト配分手法やエスカレーションの判断基準となる差異の閾値は、上級アナリストの表計算ソフトに依存するのではなく、反復可能なワークフローに組み込む必要があります。重要なのはそれを一度構築し、AIが活用できる形にすることです。
  • 事業の変化に応じて更新できる仕組み:報酬制度の見直しや税務上の管轄区分の変更、さらには買収後の勘定科目表の再編などが行われます。IT部門への変更依頼を出さなければ修正できないロジックでは、実装される頃にはすでに陳腐化してしまいます。ルールを調整できるのは、その業務を担う担当者自身であるべきです。

こうした取り組みにおいて、完璧なアーキテクチャが整うのを待つ必要はありません。最も価値の高い出発点は、アナリストが毎回の業務サイクルで同じ質問に同じ方法で繰り返し対応しているプロセスです。まずはそのワークフローを体系化し、チームがすでに利用しているAIツールと連携させましょう。そうすることで、そのロジックは組織全体へと展開されていきます。あるコントローラーの質問に答えるためのガバナンスに基づいた計算は、そのまま次回の計画サイクルで使用するシナリオモデルにも活用できるようになります。

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