「AIがアナリストに取って代わるのか」という質問を私は何度も受けます。しかし、それは全く見当違いの質問だと思います。
AIにはアナリストを置き換えるのではなく、彼らと本当に価値のある仕事との間にある煩雑で退屈な作業を取り除くことで、生産性を10倍から100倍へと高める可能性があります。本当に重要なのはビジネスを理解し、数字の背景にある文脈を読み解き、データを正しく整えることであり、そこに至るための技術的な手順に苦労することではありません。
ソフトウェア開発でも私たちは同じような変化を目の当たりにしてきました。AIコーディングツールが開発者を減らしたわけではありません。むしろ開発者の生産性を飛躍的に高め、定型的なコードを書く作業から、本当に解決すべき課題を考える仕事へと重点を移しました。さらに、それまで一度もコードを書いたことがない人にも、その力をもたらしました。
分析の世界も同じ方向へ進んでいます。
もともと、この仕事の価値は機械的な作業にあったわけではありません。どのボタンを押すかを知っていることと、どの問題を解決すべきかを理解していることは、まったく別のことです。
好奇心こそが、今なお競争優位性である
私は以前から、質問には3つの種類があると考えています。
すでに答え方が分かっている質問です。答える必要があると分かっているものの、まだ答えにたどり着いていない質問です。そして、誰も思いつかなかった質問です。
AIは最初の2種類の質問を支援することに非常に優れています。人間よりもはるかに速くパターンを見つけ出せます。集計、計算、比較、さらにはアイデアの生成までを数秒で行えます。
しかし、ビジネスにおける最大のチャンスは既知の問いの中に隠れていることはほとんどありません。それは、思いもよらないところに潜んでいます。
だからこそ、人間の好奇心とビジネスへの深い理解が、今なお最も重要なのです。そこはAIでは置き換えられない領域です。
汎用AIは分析戦略ではない
多くの組織が、この違いを痛感しながら学んでいます。
最近、AIですべてを解決しようと考えた、ある企業の事例を目にしました。その企業は人気のAIアシスタントを300人のアナリストに導入しました。非常に意欲的な取り組みであり、その姿勢には敬意を表します。しかし、6月にはAIの予算を使い切ってしまいました。さらに悪いことに、300人が同じ質問を何度も繰り返し、トークンを消費し続けた結果、一貫性のない回答が返ってきていました。その理由は、データ分析には決定性が求められる一方で、汎用AIはそのために設計されていないからです。
その後は、誰もが独自に成果物や分析結果を作り始めましたが、それらを共有する仕組みはありませんでした。共有された頃には、すでに内容は古くなっていました。AIを前面に打ち出した取り組みは、やがて混乱へと変わってしまったのです。
私はこの話を、AIに反対するために紹介しているのではありません。伝えたいのは、汎用AIアシスタントはスケーラブルなデータ分析のために設計された専用環境ではないということです。そのためには信頼できるデータ、ビジネスロジック、反復可能な手法、そして一貫した結果が欠かせません。
信頼できるデータはアナリストから始まる
もう一つ、注目すべき変化があります。AIがより多くの人に利用されるようになるにつれ、これまで専門家だけが行っていた業務を、ビジネスユーザー自身が担うようになっていきます。自然言語で質問し、トレンドを探り、自ら分析を行うようになるでしょう。
その結果、アナリストには新たな役割が求められます。ビジネスの他のメンバーが正確に分析できるよう、信頼できるデータ、ビジネスの文脈、そして分析手法を管理する存在になっていくのです。
最初から完璧なデータを用意する必要はありません。完璧を待ち続けること自体が、前進を妨げる要因になることもあります。しかし、意思決定に必要なのは、十分に整理・精査され、十分に理解され、適切にガバナンスされたデータです。
土台がしっかりしているほど、AIはより大きな価値を発揮します。
発明する企業が模倣する企業を上回る
大きな技術革新が起こるたびに、企業は2つのタイプに分かれます。
新しい技術で従来の業務プロセスをそのまま再現する企業と、まったく新しい働き方を生み出す企業です。
クラウドでも、それを見てきました。デジタルトランスフォーメーションでも同じことが起こりました。そして今、AIでも再び同じことが起きています。
勝つのは、AIに最も多くの予算を投じた組織ではありません。意思決定のあり方そのものを見直した組織です。
それが、私たちがGoldenを開発する際に貫いてきた考え方です。私たちは、AIがアナリストに取って代わるとは考えていません。むしろ、AIを信頼できるものにするビジネスロジックを形にするのは、アナリストだと考えています。
結局のところ、AIは理解を生み出すわけではありません。理解を生み出すのは、人間です。
ですから、AIがアナリストに取って代わることを心配しているのであれば、別の可能性も考えてみてください。
AIはアナリストの重要性を下げているのではありません。優れたアナリストの価値をこれまで以上に高めているのです。
